以前、三叉神経痛で来られていた患者さんがまた痛みが再発し、来院されました。症状は顔の前額部、目の周り、口や顔の下側の主に3線に痛みがあり、今までの治療で痛みは消えていましたが今回は目の裏の痛みと共にまた目の下の圧迫感が出てきたようで暫く振りの治療でした。
セミナー効果のひとつにちょうど習ったばかりの処置法や症状に実際の治療で出くわすことがあります。これは思うに多分たまたま出くわすのでなく今までも平常的にあった症状だがそれを新たに学んだことによりその症状に気が付きやすく、そしてこれは“治療の神”のいたずらでもなんでもなく、ただ実際にその局面で自分が自分に試されているんだと思います。上手く対処すれば自分の技になるし、へまれば又次の機会を待つしかない。 せっかく習ったことを試すいわゆる絶好のチャンス。
彼女の名前はパティ(仮名)。俺と同じ歳です。同年ゆえにいつもは子供の話や気軽な会話から治療に入るのだが今日は少し塞ぎ気味。 問診中はまた発症した疾患にかなりのストレスも感じているようにみえた。
先ずは側臥位で丁寧に上から華陀穴を触診していく。 特に頚椎から胸椎の華陀穴には指を奥まで深めに押入れて骨をこすりあげるようにして診て、頸部は胸鎖乳突筋を中心に圧痛点に細かく印をつけていく。
SCM特に#1の圧痛点をここで見落としはしてはいけない。見落とせば必ず持続性に影響する。大事な触診には時間をかける。
“大きく叩けば大きく響き、小さく叩けば小さく響く”
今回の触診はいつもより少し強めに深く探ってみた。 触診も余り不快でないくらいに多少強めに感じてもらいその変わりに後でしっかり取りきるよう努める。
強めに押した際に感じる圧痛を取りきりたい。
取れなければ圧迫感は治療後にそのまま不快感として残る。
ここが分かれ目だ。
そして耳の下の根源を触診で探る。
あった。
押すと顔全体に響くような痛み、中野先生から教わったこの疾患のルーツ。
脳戸、京門で圧痛を全てとった後、外関で耳周辺を処置。
顔の胃経上に反応が出ていたので陥谷を加える。
25穴全てに意味がある。 ただ単に流れで機械的にうつのでなく、目的を持って(知ってて)使った時に初めてそのツボ本来の力を発揮するかのように今回の外関はしっかりその仕事をしてくれた。
治療後、顔を動かして圧迫感が残ってないかをチェックしていた彼女が印象的だった。
今日初めて見た彼女の笑顔。
さぁ、こっからが始まりや!
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