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渡されたバトン

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先日、坐骨神経痛の患者さんを鍼灸治療させて頂きました。
でも痛みを完全に取りきれずに、完全な笑顔が見れずに最後そのまま足引きずって返してしまった。鍼効果の高い、自分でも得意な疾患であったにもかかわら ず、、、要するに俺はその疾患に負けたわけだ。完敗だった。本来は言い訳すらない。その晩、恥に塗れてちょっと落ち込んだ。もちろんいつも完璧でないがこ のショックは小さくなかった。ただ単に治療がうまく行かなかったということじゃなくて多分近頃の自分に対して納得行かなかったから。

いつも偉そうなこと言ってるくせに大したことねーじゃん、俺。
そんでも頭のどっかには常に言い訳が張り付いてた。多分普通の神経痛じゃないとか、椎間板に問題がとか、骨棘がどうのこうのとかここに書ききれないほど浮かんでは消えていってそれが逆に嫌だった。言い訳って言い訳にしかならないからね。自分で自己防衛してどうすんだ。

春に体調崩して、調子はいまいちだった。でも普通に仕事は出来たし、治療には差し支えなかった(様に思ってた)。色々あってネガティブな思考も出てきだして情緒不安定でイライラしてた。自分でわかっててもどうしようも出来なかった。でもこれも言い訳。

そんな俺でもどこかに希望もあった。もうこれ以上悪くなることはないって。近いうち復活しようとその為にあらゆることをした。でもこういう時って焦ってもダメなんだよね。時間かかるんかなぁ。半ば諦め。

そんなことがあった翌週に珍しく子供の患者さんが来た。小児癌でもう治らないらしい。母親に連れてこられて治療した。治療目的は疾患の完治でなく、諸症状の緩和と、抗癌剤ダメージからの食欲と睡眠向上。その男の子と二人で治療中話した。
彼は親より先に行く自分の事を申し訳なさそうに話した。最後彼は死ぬ前に“親に元気をいっぱいあげたい”って言ってた。人生生きてりゃこれから楽しむこと いっぱいあんのに。よくこんな子供がそこまで言えるなと思いながらも涙が出てきた。俺の身内も今、骨癌で末期。それも重なってか病人であるにもかかわらず 彼の持ってるスーパーポジティブ思考に打ちのめされた。先日の治療がうまくいかないとかのショックなんか全く比じゃなかった。
これこそ本当の完敗だった。翌日、その母親から電話をもらった。その男の子はその晩いっぱい食べていっぱい眠れたそうでお礼を言われた。よかったですね、それしか言えなかった。俺は仕事中であるにもかかわらずその電話でまた泣いてしまった。

人生いろいろあるんだなぁ。俺はセミナーや講演で日米の次世代のトレーナーや鍼灸師に夢と希望を与えるような仕事をしたいといつも思っている。テーピング や治療技術は実は二の次。そんな俺は実はこうした患者さんや選手の前向きな(ひたむきな)姿勢に感動してその預かったバトンを代わりにみんなに渡している に過ぎない。
あの小さな男の子にもらったバトンは必ずみんなに渡す。
それがあの子の生まれてきた証のような気がした。

昨日、冒頭の坐骨神経痛の患者さんがまた来た。
今度は完勝だった。笑顔が嬉しかった。多分男の子にもらった元気のお陰かも知れない。そう思ったら患者さんの笑顔に答えた自分の笑顔からまた涙がこぼれてしまった。(歳取ると涙もろくてしょうがねぇ)

“責任転嫁をしてはならない。全ての責任は己の中にある。
その様に覚悟を決めるだけで物事は前進する”

孫 正義

「渡されたバトン」への3件のフィードバック

  1. 北海道のケンサク

    昨日51歳男性、年に2.3回ギックリ腰する患者様がみえました。今回は前日に雪かきをしててギックリ腰をしたと訴えて歩くもままならないようでした。幸い痺れはなかったです。
    以前L4、5の椎間板が狭くなっているとHPで診断を受けました。アキュゾーンを使ってからギックリ腰は得意でしたが、効果を出せませんでした。
    側臥位で督脈からチェックし印を付けて鼠径部もしっかりチェックし腰にはあまり反応がなく右臀部に痛みがありました。上脳戸、京門、帯脈と刺入して印が取れました。あと右腓腹筋が張っていたのでL5華陀穴でとれなかったので申脈に刺入しても取れず照海でもダメでした。
    その状態で立ってもらうと痛みが最初から変わってないと言われました。骨盤の高さは治ってROMも少し改善してましたが、痛みは変わってないと・・・腓腹筋の痛みが取れなかったのが今回も結果になったのか
    この患者様は腹診もしないといけなかったのか色々考えました。そこでレベルは違いますがタケ先生も同じように境遇だったのかと思いました。
    得意なだけに慢心があり、まさに「敵は己の妥協にあり」心に刺さりました。

    1. 前面の鼠径部はしっかりチェックしましたか?帯脈を使う前にASIS周辺の圧痛も調べること。
      骨盤の歪みや股関節の屈曲筋(腸骨筋、大腰筋)などを緩めることも大事です。
      坐骨神経痛の場合は前回のセミナーでも言ったけど足の裏にも反応が出ている時があるので診てみて下さい。
      腰椎華陀穴や仙腸関節もしっかり骨際から触診して取り切れれば症状は緩和しているはずです。
      側臥位でもいいけど圧痛点によって立位での帯脈や曲垣の刺鍼や動きの中での痛みの軽減もやってみて下さい。
      失敗はチャンス! 今これにどう対峙するかが、未来のあなたを左右します。

  2. 北海道のケンサク

    タケ先生いつも聞きたいこと以上の事を教えて頂きありがとうございます。

    前面の鼠径部はしっかりチェックして痛みは取れました。骨盤の歪みも取れました。
    しかし、今回は痛みが強く背臥位はきついと判断して、股関節の屈曲筋はみていなかったです。
    一番の原因は慢心だったと思います。患者様としっかり向き合います!!

    圧痛点によって立位での帯脈や曲垣の発想はなかったので、ぜひチャレンジします。

    この患者様は症状緩和出来ませんでしたが、、よりアキュゾーンを深く考え成長のキッカケをくれたことに感謝します。もっともっとアキュゾーンで患者様を救いたいって思いました。

    これからもよろしくお願いします。

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