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続 真夏の夜の夢

 

愛するあなたに捧ぐ

 

 

 

昨日までの雨が止んで、遠い空の雲間から夕陽が海に溶けていく。

道路のアスファルトからは雨が蒸発した特有な匂いがたち、海も少し波が立っていた。

湿気もあって少しだけ暑かったが、時折吹く風が妙に心地良かった。

二人して浴衣を着て花火を見にきた。

今日は茅ヶ崎花火大会。

 

 

 

41年前、ライフセイバーとしてこの浜で警備長をしていた。

むせかえるような人混みを下に見て、特権というかビール片手に一人監視台に登って花火を見たのを覚えている。

あの頃は花火の指定席もなく、もちろん椅子などもなく、早い者勝ちで浜辺にシートを敷き、

海の警備を終えて飲みながら仲間達と騒いでいた。怖いもんも将来の不安も何もなく、ただただ毎日が楽しかった。

 

 

 

 

波濤の音が微かに聞こえる。

淡い蛍が燐光を放ちながら防波堤に向かって飛んでいった。

最初からいきなりスターマインがどんどん上がっていく。

微かに匂う花火の匂いに心躍らしながら一緒に空を見上げた。

夜空に燦然と咲いた大輪の花火が遠雷のように、消えゆく響きを引きづりながら漆黒の闇に消えていく。

 

 

 

 

夜空を彩る万華鏡のような輝き。茅ヶ崎花火で有名な孔雀が羽を広げたように海面から打ち上がる水中孔雀に目を奪われる。

水面に映る、光の軌跡と音のハーモニー。

重なりながら輝くも儚く消えるその一瞬が胸を打つ。

 

 

 

 

あぁ、世界はなんて壮麗なんだろう。

圧倒的な美に対して人は完全に無抵抗となるらしい。

ずっと一緒に見たかった花火。

同じ時を刻む中で全てを共有してる気がした。

何億という人がいる中で同じ時代に、同じ国に生まれて、同じ感動を味合う。

 

生まれてきてくれてありがとう。

巡り会ってありがとう。

 

ただ楽しかっただけの頃と違う幸せを感じる心を持つ自分に感謝した。

絢爛な大輪の花が夜空を彩り、光が満ちて明るくなった時、颯颯とした風が一瞬通り過ぎて彼女の髪を揺るがした。

何気なくお互い伸ばした指が絡み、彼女の横顔に花火の色化粧が映った。

 

 

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