Jpanesehealing Top page

初心に戻る

 

 

先週、口腔内手術(今は全く大事ないのでご心配なく!)をして2週間ばかり食べれない(まぁスープとかお粥とかはなんとかストローで飲んでる 笑)、話せない、飲めない、笑えない(表情筋を動かせない)、働けない(先ず問診が出来ないので)。
新年早々家で片っ端から本を読んでる。

 

でもそれでもいいという仲のいい常連の患者さんだけ、話せないけど筆談で診てる。口の中が痛いだけで身体と頭は問題ないので治療させて頂いている。口がきけない分、しっかり患者さんの訴えを聞く。説明出来ない分、しっかり結果を出さないといけない分、触診の指に頼るところも大きい。普通とは違う触感や奥にある硬結、以前松本先生がおっしゃっていたグミーな感覚と今まで以上に指に集中している自分がいる。

 

 

 

指の感覚、これは修練や経験に依るものも多い。俺の当時の鍼灸の学校の先生は殆ど盲学校を卒業して鍼灸師として活躍していた治療家だった。目が見えない分、指の感覚とかはもちろん常人ではなかった。先生方は例外なくどこかの有名な先生に弟子入りして修行をされた筋金入りの本物の鍼師だった。入学したての18歳の俺はまだ半分子供だったし、よくかわいがってもらって治療もして頂いたり、ご飯に連れて行って頂きいろんなお話も聞かせて頂いた。そんな時代だった。

もうその先生方はいないけど言葉だけは今でも残っている。“常に指を肥やせ”とよくおっしゃられていた。特に俺の学校は按摩マッサージ指圧の免許も取れたし、またしっかり教えてくれ、手技も有名な学校だったので指の感覚の大事さをよく教わった。その先生が“指は大事だからわしは台所仕事(包丁持ったり、グラスを洗ったり)はせん”と言ったのを俺も当時から真似して未だに俺は料理が出来ないし、なるべく包丁を待たないし、dish washerでしか洗い物はしない(直ぐ真似するやつ)。

 

ものに触れる時、人は意識をしないで触る。それを意識してやってみなさいと言われてわからないなりにやっていた。鍼の押手にしたって水槽に浮かんだナスが揺れないように(押手は圧をかけない)、寝ている猫が起きないように鍼を打ったり(刺入で痛みを感じさせないように)、当時のまだ素直な俺は言われたことを実践して練習していたのを覚えている。地元の江ノ島の旅館での出張マッサージもよく行った。一日10人もマッサージすると慣れてない小僧の俺の親指は腫れ上がった。夜中帰ってきて氷水につけながらも翌日筋力強化の為に指立て伏せとか片手懸垂とか今考えるとどうなんだろうと思うこともよくやった。バカなことと思うけど色んなことをやった。それもみんな、うまくなりたい一心だった。

 

 

“大空のサムライ”で有名な太平洋戦争時の撃墜王であった坂井三郎氏の著書にもある。零戦を駆って200回以上の空戦で敵機大小64機撃墜したエース(2000年9月逝去)はただの戦闘機乗りでなく、修練を積んだ努力のエースだった。

当時は今のようにレーダーなんてないから敵機を先に見つけられる優秀な視力を養うことも大事だったらしい。朝起きると目に良い森の緑を数分間じっと見つめた。群れ飛ぶ鳥を瞬時に数えた。遠くの看板の文字をできるだけ遠くから読むようにした。そして驚くべきことに昼間の星を探した。そしてある日、30分ほど空を見つめていたら見えたらしい。そのうち目をそらしてまた見ても見れるようになったという。この修練のおかげで空戦の際、敵機に先に発見されたことがなく、いつも先制攻撃が出来たという。修練の末、彼は飛ぶハエなどは百発百中でつかまえられたらしい。宙返り時の重力(G)に打ち勝つために逆立ち15分、息を止めること2分30秒、操縦桿を握る為右手の筋力が異常に発達して左よりも長かったらしい。尋常ではない。だが発明や発見は現状を否定するところから生まれるとその著書にある。

 

もちろん治療の際、いつも集中して触診している。が、どこかで主訴やその他の情報を鵜呑みにして頭でっかち耳年増、押して痛いと言われたところにシールを張っている自分もたまにいて、客観的にみるとここには大きな伸びしろがありそうな気がした。

本気で指を肥やそうと思って日夜頑張っていた18歳の若き鍼灸学生。

ベテランであろうが知識と経験が増えると共に主訴や患者さんの情報に流され本質を見逃してしまうことがあってはならない。

 

人間健康が一番やな。早く治って口大きく開けて美味い飯食いてぇ。今だと傷口に染みて失神しそうなくらい痛みを感じる醤油をかけて寿司食いてぇ。みんなと飲んで大声で話たい。いつもやってることだけどね。幸せってのはその時にはわからないらしい。

話せないからと言うだけでどうこう偉そうなことを言うつもりはないが、俺も今だからこそ初心に戻ってもう少し違う見方をしてみようと思った思うように口がきけない新年でした。

来週には復活します。

 

今年もよろしく!

 

「初心に戻る」への4件のフィードバック

  1. Taku

    新年明けましておめでとうございます
    今年もよろしくお願いします。
    そして札幌で美味い寿司食いましょう

    1. 頭ン中、ビールと寿司しかない。
      早く来週になれ〜

  2. ようすけ

    タケさん、こんにちは!
    自分の学生時代を思い出しました!お灸が上手くなりたくて、、1日100壮とか毎日やって自分の脚にヤケド作ってました!

    また、皆で勉強して食べて飲めることを楽しみにしてます!

    1. 元気そうですね。
      今度はいつ会えるんだろうね?
      セミナーかな?
      多分4月のNYマジソン・スクエア・ガーデンは行かないで来日講演です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール