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治療と失敗

最近、メンタル疾患の患者さんを治療する機会が多い。 俺のクリニックは宣伝、広告、営業をしてないので(ビルの3Fでドアに名前が書いてあるだけだけど)誰も知らないし殆ど口コミの患者さんだ。 ふらっと入ってくる患者さんは今まで1人もいないし、全て予約のみ。だからてんてこ舞いに忙しい時は予約を受けた自分の責任。話をじっくり聞く必要がある患者さんを並べてしまい時間との戦いで苦労したことも何回もある。近頃なんとか上手くタイムコントロールが出来るようになったけど、治療も含めて失敗は数限りない経験がある(自慢でも何でもない 泣) 治療前にはカルテを並べ、流れを掴んで、音や匂い、部屋の温度やベットの暖かさ(夏でもエアコンがビル全体に入っているので少し寒い時もある)を考える。 メンタル疾患(うつ、パニックアタック、不眠症、イライラ、情緒不安定など)の患者さんは人それぞれ違っていて細かいところにも配慮が必要な時がある。患者さんのそれは過敏になっていてそれだけでも治療のマイナス要因に転ずる時があるからだ。 色んな所に行ったけど良くならないとか、このまま薬を飲み続けたくない等、訴えは色々あるが先ず患者さんのお話をじっくり聞く。余り話したがらない患者さんもいるけど(質問しても答えない)、逆に話が止まらない患者さんもいる。今日の患者さんは予約を取るだけで多くの質問メール(ほぼ毎日)で2週間かかった(予約とキャンセルの繰り返しもあったし)。もちろん、診断はそこから始まっている。患者さんは何かを表現して、何かを訴えているのかも知れない。また殆どの患者さんは薬を飲んでいて出来れば治療でそれを少なくしていきたい。軽度で短期間なら問題ないが重度で長期間の服用になればなるほど薬だけで治ったケースはそう多くない。薬が悪いと言っているんじゃなくて合ってない場合もあるし、凄く効く薬というのは副作用もそれなりに大きいわけだ。副作用で悩んでいる患者さんも実は少なくない。 でもみんな良くなりたい。治りたい。でも患者さんはどうしていいかわからない。診断されたことを自分で重複して確認していく内にだんだん深みにハマってしまう。勝手に自分で思い込んで、結論を出して、それの繰り返しで気がつくと病になっている場合が多い。昔は膝の患者さんを治療すると膝が痛くなったり、頸の時は自分の頸が痛む時もあった。今はもう無いけどそういうのって伝染るって先輩に言われてそう思い込んでいた時期もあった。少なからず氣を扱う仕事なので、特にメンタル疾患はその辺をコントロールしながらの治療も必要になる。実際、今日のその患者さんは治療を始めるまでに一方的なお話だけで30分経った。患者さんには治療後に用事があるらしく俺の治療に残された時間はあと30分。腹診から丁寧に始める。 患者さんこんなにガチガチに張ってて多分辛いんだろうなぁと思うことはよくある。でも全て鵜呑みにしてもいけない。相手の立場に立って考えるのは大事だが否定するところもあっていいと思う。患者さんの思い込みを断ち切る時もそう。何で内臓を診るのか、頸の張りなんて全く関係ない、とか言われながらも自分のやり方をしっかり説明しながら治療を始める。でもなかなか信じてもらえない。セミナーならSCMの#1&2をしっかり緩ませて、、、と説明するところだが患者さんにとっては経過がどうあれ結果が全て。 治療中、以前師匠から教わったことのある“鍼がある程度のところまで行くとぐっと中に引っ張られる感覚”が手に伝わる。六感を飛び越すような感覚。師匠が言っていたことを当時は神業かと思った。でも人がやる人間業。 いっぱい失敗したし、罵られたこともあったし、治療費払って頂けない時もあった。成功例もいっぱいあるが失敗例ももっともっといっぱいある。要するに経験自体は良くも悪くも豊富だ。色々試して、最後に俺んとこに来てくれた患者さんってもちろん難しいケースでだけど俺に出来ることは自信を持って対応することなんじゃないか。自信なくしては何も出来ん。なくしてはパワーも氣も出ん。 治療後、お支払いして頂く時、その患者さんが言ってくれた一言が嬉しかった。 “こんな感じ久しぶりぃ”笑顔を初めて見れた。これからが大事な治療になってくるのはわかってる。でも患者さんは初めて信じてくれた。それが嬉しかった。 自信って費やした時間や努力や経験もあるけど本当に自らを信じる力なんだね。当たり前のことなんだけどそれを強く感じる今日(本当はクリニックおやすみ日だったけど)たった一人の患者さんから教わったことでした。 失敗がないと人生に失敗するっていうけど治療はもっとそれが顕著。 みんな、もっともっと失敗してみ。恐れたらもったいねーよ。 “研究では1割バッターなら大成功。 9回失敗しないと、1回の成功はない” ノーベル医学生理学賞 京都大学教授 山中伸弥

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