14世紀に中国から日本に伝わった鍼治療ですが、現代においてはその手法において大きく異なります。一般的に日本で行われる鍼治療にはより細く薄い鍼が使用されます。これにより、患者様の負担を減らし、よりリラックスした環境で治療を行うことができます。また、鍼治療とあわせて熱による治療、いわゆる灸を併用することでさらに治療の効果を高めることができます。
Q:鍼とは何ですか?
A:鍼とは身体にあるツボに鍼をさし、それを刺激する事によって病状を軽減し正常な状態に回復させる治療行為です。それらのツボは中国二千年の経験医学で受け継がれ、最近では電磁学研究でもその位置が実証されています。
Q:どういう症状に鍼が効きますか?
A:世界保健機構(WHO)では下記の症状に良いとされています。
1.耳鼻咽喉に於ける症状
歯痛、歯を抜いた後の痛み、耳の痛み、鼻水、鼻づまり、鼻炎など。
2.呼吸器疾患
喘息(小児喘息も含む)
3.消化器疾患
しゃっくり、以遠、十二指腸潰瘍、大腸炎、便秘、下痢、バクテリアによる赤痢
4.眼疾患
結膜炎、網膜円、小児近視、進行中の白内障
5.神経、筋肉の疾患
頭痛、偏頭痛、顔面神経痛、神経痛、卒中後の筋萎縮、おねしょ、五十肩、テニス肘、座骨神経痛、腰痛、骨関節炎、膝痛、捻挫、婦人科疾患にも使われます。
Q:針はどのくらい深く入りますか?
A:疾患の違い、ツボの場所、患者さんの身体の大きさ、年令、健康状態によって異なります。鍼灸師の術法、国によっても違うことがあります。当クリニックでは1cm弱程度の刺入です。
Q:針は痛いですか?
A:鍼灸師が刺針した場合、患者さんはなんとなく重い鈍痛のような痺れを経路の流れに感じます。もし、不快感があってもそれは軽いものです。
当クリニックでは痺れのようなひびきもないぐらいの弱刺激で鍼治療が苦手な人や初めての人にもやさしい治療をしています。
Q:針は清潔なのですか?
A:最近の鍼灸治療のほとんどが個々に滅菌パッケージされた使い捨ての針で行われます。これにより感染が予防されます。
また一回一回針は使い捨てなのでご安心下さい。
Q:針はどのようにして効くのですか?
A:最先端の西洋医科学をもってしても説明は難しいところです。伝統中医学では病は身体の氣や血が不足したり停滞したりした時に生じるものと考えられています。そのため針によって実した部分(エネルギーの集まりすぎたところ)から虚した部分(エネルギーの不足したところ)にエネルギーを送り、身体の氣の流れを正常な状態に戻します。この働きでホルモンやエネルギーのバランスを保ちます。古代中国では”氣の流れ正常な時 病生じず、 氣の流れ停滞した時 病生ず” と言われています。
Q:鍼灸術に違いはあるのですか?
A:鍼灸は古代中国で発祥し、日本、韓国、東南アジア、イギリス、そしてアメリカへと伝わってきました。国が異なれば方法も異なり、考えやセオリー、テクニックもいくらか変わってきます。治療を受ける側として鍼灸師に色々聞いてみるのがよいでしょう。
Q:どういう基準で鍼灸師を選ぶのがよいですか?
A:鍼灸師がどこで修行し、どのくらいの間トレーニングを積み、どのような経験や実績をもっているか聞いてみるのが良いでしょう。
鍼灸師は全米の半分の州で免許制度となっています。免許のない州では全米鍼灸協会公認の承認証が必要となっており、名前の後にDipL.Acというのが付きます。
当クリニックの院長はその上のDAOM(Doctor of Acupuncture and Oriental Medicine)という称号をもち30年間の経験と実績を持つ東洋医学博士であり日米で多くの大学院や学校で後進の育成のため特別講師をしています。
Q:治療は何回ぐらい必要ですか?
A:治療は疾患の違いや慢性か急性か、またその度合いによって変わってきます。急性の場合は数回の治療で、慢性の場合は長期の治療が必要になる場合もあります。
Q:治療を受けるにあたって何を知っておくべきですか?
A:まず鍼灸師があなたの主訴に基づきどんな治療が必要かを説明します。それは治療を受けるにあたり何がどう変わるか、他に何をするべきか、また他の医療機関での診断、検査の進めなど患者さんの症状にあった治療とはどの様なものかという説明です。まず自分の病状をしっかりと把握してください。
Q:治療を受ける前には何かしたほうがいいでしょうか?
A:はい、治療の効果を高める為、いくつか知っておいてください。
1.まずバクテリア感染を予防する為、身体を清潔に保っておいて下さい。
2.紛失を防ぐため、身に付けている貴金属などを外しておいて下さい。
3.ゆったりとリラックス出来る服装を着用しておいてください。特に女性の方はワンピースの服やストッキングは避けてください。
Q:治療中は何をするべきですか?
A:まず緊張しないでリラックスしてください。何か気になることがあったらまず鍼灸師に聞いてください。
1.針が刺さっている間は動かないようにして下さい。身体の位置を動かしたいときは鍼灸師に聞いてください。
2.稀な事ですが、緊張しすぎるとめまいや吐き気を覚える患者さんもいます。また、痛みがひどくなったり突然気分が悪くなったりしたら遠慮しないですぐに鍼灸師に言ってください。
3.もし針の刺激の大きさに耐えられない時は鍼灸師に言ってください。
Q:治療後に跡は付きますか?
A:身体の毛細血管の多い部分では稀に軽い内出血を見ることがあります。これは痛みは伴いませんし数日で消えますが、心配でしたら相談してください。
患者さんの中には一回の治療で治る人もいますし、その数日後に同じ症状が現れる人もいます。又一回目の治療では何の変化も見ない人もいるでしょう。これは病状によって変化が異なるからです。普通は治療後いくらか楽になり数日後くらいにゆっくりと変化が表れます。
この他にも色々な質問があるでしょう。例えば今飲んでいる薬を続けるべきか、何を食べたらいいのか、家では何をするべきか、治療の頻度や長さなど数え上げたらきりがありません。遠慮しないで鍼灸師に聞いてください。ひとつひとつ説明してくれるはずです。不安があっては良い治療効果は期待できません。鍼灸師の患者さんが一体となって初めて良い効果が生まれるのです。